芸術活動を市民運動へ

芸術文化創造工房アートフォーレストの誕生
(芸術活動を通しての市民活動)

アートフォーレスト誕生
 
私たちアートフォーレスト(芸術の森)は私の両親が主宰している35年の実績のある、地域のこどもたちへの絵画造
形教室である風の子絵画教室を母体とし、それまでは主として個人的な発想による単発的なボランティア活動であっ
たものを絵画や音楽など芸術を通して地域に、こどもたちに、高齢者に何かできることはないだろうか、この活動自体
をもっともっと強固なものにし、持続的なものにしたい!という強い思いの中から誕生いたしました。造形美術を通じ
てこどもたちの情操教育、高齢者の生きがい創成、芸術を通して地域交流、アジアを中心とした国際支援活動を目
指しています。
アートフォーレストを立ち上げるにあたり、これまで行ってきた様々な事業を検証し、人々に芸術を通して感動や喜び
を与え、豊かな心、いきいきとした心を育てる素晴らしい仕事であると改めて深い思いに至りました。
芸術は理屈や技術ではありません。美しいものを美しいと思う心そのものが芸術である。私たちはそう考えます。
機は熟し、平成14年10月大村の地に多くの賛同者とともに芸術文化創造工房アートフォーレストの設立となりまし
た。
芸術という概念は人間に与えられた素晴らしい感覚です。これまでのモノ・カネ・点数で人間の価値が計られる社会
は転換していかなければならない。新しい価値観をもって本当の意味での「豊かな社会」を形成していかなければな
らない。この思いが私たちの活動の原点となります。
21世紀は心の時代です。人間が持つ原点である芸術によって社会は変わる、社会を変えるをキーワードに様々な活
動に取り組んでまいりました。それは苦しくも楽しい闘いの始まりでした。
 アートフォーレストのメンバーは長崎大学生涯学習センターの新田助教授をはじめ、商店街活性化の実行委員長、
商工会議所の事務局長、陶芸家、デザイナー、木工所社長、イラストレーター、ミュージシャン等多彩な顔ぶれで構
成されています。
活動の拠点として大村駅前アーケード内のビルの一室を借りました。殺風景であった部屋は木工所のメンバーの指
揮の下、古材、廃材を活用し見事なアート空間に生まれ変わり、壁を塗り、ガラスには絵を描き、天井には布を張り
汗と知恵を絞りました。商店街とは名ばかりで郊外型の大型店舗の波に押しまくられ衰退化する一方の別名シャッ
ター通りと呼ばれるアーケード。敢えて、ここを拠点としたのはひとつの挑戦でもあります。この場所がいきいきと地
域の中で蘇生し輝いていけば地域活性化にも一役買うことになるからです。
こんなことをしました!

あっという間に疾風怒涛の1年が過ぎようとしています。この場所は様々な情報発信基地として絵画や写真、陶芸な
どの展示ギャラリー、ジャズ、クラシック、ロックなどのライブの開催、アジア・アフリカ等の工芸雑貨の販売、ベトナム
式コーヒー、バリ茶などアジアンカフェの機能を持ち合わせた「芸術複合カフェ」として少しずつ歩み始めています。簡
単にこの1年を列挙してみますと、モロッコの神秘的なランプ展、個性的なイラストレーション展、絵画教室のこどもた
ちによるのびのび絵画作品展、有田の新進気鋭の作家による作陶展、ゲストを招いたイラク戦争についてのトーク&
ライブ、長崎ランタンフェスティバルのイメージソングを作曲したジャズピアニスト小國雅香ライブ、バリ島の神秘的な
ガムランに合わせたバリ舞踊バリダンスの夕べ などなど地方ではなかなか見ることができない様々なイベント事業
を企画実行し、参加していただいた方々も地元で本格的なアートに触れる機会ができたと喜びの声を多くいただきま
した。

課題と展望

この1年を振り返り、かなり内容の濃い多彩な活動をしてきたと自負いたしております。しかし、思いを実行するため
の、活動費などの経費を捻出するのが頭の痛い所です。
この場所がいきいきとしたネットワークの拠点として少しずつ市民権を得てきたのは私たちのスタッフのたゆまざる努
力と情熱の結果だと思います。課題は、活動に対するサポーターの増強を図るとともにここに集う人々が、自分のサ
ロンとしてアイデア、労力を出し合い自分らしい空間作りをしてくれるよう意識改革をしていくことでしょうか。
「楽しいことをしよう」この言葉をキーワードに私たちの市民運動が様々な人々を巻き込んで大きなうねりとなる日を夢
みています。


芸術文化創造工房アートフォーレスト 代表 秋山泰介


戻る
戻る